1.最初に

こんにちは、杉山です。

毎日暑いですねー。夏ですもんね。
夏と言えばモダンですねー。

各地のPPTQもモダンフォーマットになってから参加者が増え続けていますし、9月にはGP香港も控えていますね。モダン、大人気ですねー。モダン、やらなきゃですねー。
というわけで今回はモダンです(強引)。

しかし、暑いからモダンとは言え(?)、普段から親しんでいない人にはかなり敷居が高いフォーマットであることに定評があるモダン。
かくいう自分も本当に久しぶりで、モダンの記憶となると5月のジョニーオープンでこれまた半年ぶりに【カウンターカンパニー】を回したぐらいです。

なので今回は、離れていたモダンという魔境に戻る時、または初めてモダンという魔境に足を踏み入れる時、どうやってデッキを決めればいいのか(環境を読み解けばいいのか)、を考えてみたいと思います。


2.対策カードでデッキを決める

モダンというフォーマットの特徴は多岐にわたるデッキタイプのために全ての主要デッキに対するサイドカードを用意することが難しくうんたらかんたら……なんてお決まりのまくらを長々と言うつもりはありません。

モダンにはいつの世もコンボが一定数以上いて、このご時世に使われているコンボデッキは全て、それより早くこちらを押し付けるか、きっちりと対策カードを用意してないと90%負けてしまう、という身も蓋もない現実を、まずはしっかり共通認識としましょう。

つまり、モダンはコンボを使うのか・それともメタるのかを決めるところから始まります。

それでは次に、代表的なコンボデッキと、それに有効な対策カードを考えてみましょう。
大事なのは、しっかりと対策カードを見極めることです。多くのデッキに有効だからと、ふんわりした対策カードを中途半端な枚数積むだけでは対策したつもりのどのコンボにも勝てないでしょう。

あとは薄いとは言えモダンにもメタゲームというものが一応はありますから、大会結果などを横目で見ながらメタに有効な対策カードを多く使えるデッキやメタから対策カードが減っていそうなデッキを適当に選びましょう。

3.サンプルデッキ群



『ドレッジ』
Competitive Modern League 2018-08-14, (5-0) by ls149950


2枚 3枚 4枚 1枚
2枚 2枚 2枚 4枚
1枚





3枚 3枚 4枚 4枚
4枚

4枚 3枚 4枚 4枚
2枚 4枚





1枚 3枚 3枚 1枚
3枚 4枚


対策カード


S:《虚空の力線》《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》
A:
B:《大祖始の遺産》《貪欲な罠》《トーモッドの墓所》
C:《漁る軟泥》
D:

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いわゆる墓地コンボの代表格。オールインながらも《燃焼》《壌土からの生命》のおかげで小器用なこともできるのが強み。というか《燃焼》が強み。

墓地コンボは総じてなのですが、《古えの遺恨》が上手く使えるのもポイントです。
他の墓地コンボに比べると《大祖始の遺産》《トーモッドの墓所》などの使い切り墓地掃除が若干刺さります。




『ブリッジヴァイン』
Competitive Modern League 2018-08-14, (5-0) by RNGspecialist


3枚 2枚 4枚 1枚
1枚 1枚 1枚 1枚
4枚





2枚 4枚 4枚 3枚
4枚 4枚 4枚 4枚
4枚

1枚 4枚 4枚





2枚 1枚 1枚 3枚
4枚 2枚 2枚


対策カード


S:《虚空の力線》
A:《安らかなる眠り》
B:《罠の橋》《墓掘りの檻》
C:《大祖始の遺産》《貪欲な罠》《トーモッドの墓所》
D:《漁る軟泥》

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いわゆる墓地コンボその2ですが、特徴はそのスピード。

先手を取られると《安らかなる眠り》《罠の橋》すら間に合わないこともあり、墓地特化の制約と誓約がもたらすパワーとスピードは随一です。クリーチャーサイズもドレッジより上。

《大祖始の遺産》などの使い切り墓地掃除は容易に復帰されるため、十分な枚数を積む/使い回すか、一時しのぎと割り切ることも必要になってきます。また墓地対策の上から《大いなるガルガドン》で踏み潰すプランも。




『ホロウワン』
Competitive Modern League 2018-08-14, (5-0) by Phnx1337


3枚 3枚 4枚 2枚
1枚 1枚 4枚





4枚 4枚 4枚 3枚
4枚 4枚 1枚

4枚 2枚 4枚 4枚
4枚





3枚 2枚 3枚 4枚
3枚


対策カード


S:《虚空の力線》
A:《安らかなる眠り》
B:《罠の橋》
C:《漁る軟泥》《墓掘りの檻》
D:

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いわゆる墓地コンボその3なのですが、墓地に依存しきらない多角的な動きが強みです。

その分安定性が若干犠牲になっていますが、他の墓地コンボデッキにないサイズの《グルマグのアンコウ》、インスタント火力の《稲妻》がそれを補ってあまる魅力となっています。

別に他の墓地コンボでも使えると思うのですが、《渋面の溶岩使い》はホロウワン専用のアンチクリーチャーカードみたいな位置づけになっています(普通に強いです)。




『アイアンワークス』
Competitive Modern League 2018-08-14, (5-0) by uyeharak1


4枚 3枚 2枚 4枚
2枚 3枚





2枚 4枚

4枚 3枚 4枚 3枚
4枚 4枚 4枚 4枚
2枚 4枚





1枚 4枚 4枚 3枚
3枚


対策カード


S:《虚空の力線》《石のような静寂》《ガドック・ティーグ》
A:《弁論の幻霊》
B:《安らかなる眠り》《古えの遺恨》
C:《戦争の報い、禍汰奇》《大祖始の遺産》《貪欲な罠》《トーモッドの墓所》《思考囲い》《大歓楽の幻霊》《スレイベンの守護者、サリア》《減衰球》
D:《漁る軟泥》

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いわゆるアーティファクトコンボデッキなのですが、墓地コンボでもありチェインコンボでもある、コンボの王様。
あらゆる対策カードに引っかかります。

それでも一線を張ることができる理由はドロー/サーチの豊富さと復帰力にあります。1枚や2枚の対策カードは対策カード対策を探しに行ったり、コンボを止められてもすぐに復帰してもう一度決めたり。 《仕組まれた爆薬》によって高い対応力を備えているのも強み。しかも使いまわし可能。

そのため、爆薬耐性のある対策カード、すなわち《虚空の力線》《石のような静寂》《ガドック・ティーグ》が非常に効果的です。

もっともサイドからは《練達飛行機械職人、サイ》によるビート、《ギラプールの霊気格子》によるマシンガンモードもあるため、なかなか一筋縄では行きません。どうでもいいですが海外GPだと英語でコンボ部分の挙動を説明するのが大変そう。




『親和』
Pro Tour 25th Anniversary by Murae Ryuji


4枚 4枚 4枚 3枚
1枚 1枚





4枚 2枚 4枚 4枚
4枚 3枚 1枚 3枚

4枚 1枚 4枚 3枚
4枚 1枚 1枚





1枚 2枚 1枚 1枚
1枚 2枚 2枚 1枚
1枚 1枚 1枚 1枚


対策カード


S:《石のような静寂》
A:《粉砕の嵐》
B:《古えの遺恨》《戦争の報い、禍汰奇》
C:《自然の要求》《細かいインスタント除去》
D:

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ビートダウンの顔をしてますけど、アーティファクトコンボなんで。若干クリーチャーコンボとも言えるかもしれません。

アーティファクト対策の他は、墓地対策がほぼ効かない代わりに、クリーチャー除去が概ね引っかかるのが特徴です。

無色デッキのくせに五色デッキでもあり、サイドに豊富な対策カードが積めるのも魅力。
純粋なコンボデッキに比べるとビートダウンな分、サブプランは融通が効きづらく、クロックパーミの形をとるか《ギラプールの霊気格子》をお守りにするぐらい。
精妙なサイドチェンジが肝となります。





『ストーム』
Competitive Modern League 2018-08-10, (5-0) by JohnnyHotSauce


3枚 1枚 2枚 4枚
4枚 4枚





4枚 4枚

3枚 2枚 4枚 4枚
4枚 4枚 1枚 4枚
4枚 4枚





2枚 2枚 3枚 1枚
1枚 1枚 3枚 1枚
1枚


対策カード


S:《安全の護符》《減衰球》《弁論の幻霊》
A:
B:
C:《虚空の力線》《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》《スレイベンの守護者、サリア》
D:

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チェインコンボ筆頭。かつ墓地コンボでもありますが、《差し戻し》を絡めた《ぶどう弾》素撃ちルートや、サイド後は《ゴブリンの巣穴》ルートもあるため話は簡単ではありません。

ドローが豊富なため3キル率はかなり高めで、概ねどんなデッキ相手にも押し付ける側として立ち回ることが可能です。
代わりにクリティカルなカードは本当の本当に致命的なので、個人的には、使う場合はある程度対策カード対策を積みたいところ。




『トロン』
Competitive Modern League 2018-08-14, (5-0) by Blazed-Ugin


4枚 2枚 1枚 4枚
4枚 4枚





1枚 2枚 3枚 1枚
2枚

4枚 2枚 1枚 4枚
4枚 4枚 4枚 4枚
3枚 2枚





2枚 1枚 1枚 4枚
2枚 1枚 1枚 2枚
1枚


対策カード


S:
A:《石のような静寂》《減衰球》
B:《血染めの月》《各種土地破壊》
C:《各種カウンター》
D:

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土地コンボ代表。当然土地を攻めるが答えになるのですが、生半な攻め方では我慢強くドローを重ねられて《忘却石》《自然の要求》に繋がれます。

相手にする場合は《壌土からの生命》《聖遺の騎士》でハメを狙いたいところ。

使う場合、準無色デッキだけあってサイドの選択肢があまりないのがネック。
サブプランなども取れません。せいぜいが《難題の予見者》《スラーグ牙》でなんちゃってミッドレンジを気取るぐらいです。




『カウンターカンパニー』
Modern MOCS #11542637, (6-1) by lighdar


1枚 2枚 4枚 2枚
1枚 4枚 1枚 1枚
2枚 4枚





3枚 1枚 4枚 3枚
2枚 4枚 3枚 4枚
1枚 4枚 1枚

4枚 4枚





1枚 1枚 2枚 3枚
1枚 3枚 2枚 2枚


対策カード


S:
A:《細かいインスタント除去》《全体除去》《魂の裏切りの夜》《ギラプールの霊気格子》《渋面の溶岩使い》
B:《ガドック・ティーグ》《墓掘りの檻》
C:
D:

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クリーチャーコンボ代表。非常にバリエーションに富んでいるため細かい解説は避けますが、共通しているのは、クリーチャーコンボだけあって除去に弱いこと、それに耐性をつけるために《聖遺の騎士》などでミッドレンジ戦略のオプションを取ることです。

《崇拝》《神聖の力線》がコンボ対策にならないことに注意してください。
大抵の場合《薄暮見の徴募兵》からクリーチャーを全て引ききられ、《再利用の賢者》が希望を砕きます。

インスタントタイミングで動けるコンボデッキのため、相手にすると非常に窮屈な動きになってしまいます。こちらもインスタントタイミングで動くデッキを使うか、素早いクロックを用意して時間稼ぎ的に対策カードを使ったりピンポイントで除去を挟む動きが理想です。


4.最後に

対策カードから見るモダン環境、いかがだったでしょうか。

【アドグレイス】や【アミュレットタイタン】、【リビングエンド】など紹介しきれなかったデッキもありますが、コンボデッキはおおむね「墓地コンボ」「チェインコンボ」「アーティファクトコンボ」「クリーチャーコンボ」に大別され、そのどれかもしくは複合系であることがほとんどです。

必然、有効な対策カードも決まってくるため、それらを上手く使えるデッキか、それらが効かないサブプランが取れるコンボデッキを探したいですね。

今回は珍しく既存のデッキ紹介のみで軽めの記事でしたが、はたしてGP香港で自分は何のデッキを使っているのか?
記事執筆時点で正真正銘まったくの白紙であり、自分でも楽しみです。

また次回の記事で、答え合わせと共に良い結果報告ができればと思います。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

5.おまけ

前回の記事での答え合わせを忘れていました。

GPシンガポールで自分が使用したデッキは、エスパーコントロール。下手をしたらサイカトグ以来のコントロールかもしれません。結果は6-2で初日は突破したものの、2日目に3連敗しドロップ。

GP中に色々な人と話した結果、デッキの改良点がいくつも見つかったのでまだまだやり込み不足というか視点不足だったな、と反省しています。

その後GP千葉にも参加し、こちらは初日7-2から2日目4-2でプロポイントは2点獲得。上海の3点と合わせてプロポイントは5点となりました。香港ではポイントの上積みと言わず、プレイオフを狙って頑張りたいですね!