注意!
※この記事は2019年8月26日禁止制限告知より
前に執筆したものになります。
ご了承下さい。

こんにちは。お久しぶりです。杉山です。

カスレアと構築レアの間、第2回です。

■最初に

みなさん、基本セット2019のパックを開封していて、憤りを感じたことはありませんか。
そう。力線サイクルについてです。

世が世なら2300円
虚空の力線/Leyline of the Void (M20) 販売価格:2,300円(税別)


しかし現世では3コイン


豊穣の力線/Leyline of Abundance (M20) 販売価格:300円(税別)

《豊穣の力線》のカードパワーに疑いはありません。2ターン目に4マナへジャンプアップできるカードなどそうは無く、追加でおまけ能力まで付いています。
なのに力線を引いて喜ばれるのは黒と白だけ。その他は全て外れ力線扱い。
一体この差はなんなんでしょうか。
カードパワー? 色の違い? 能力の賞味期限の短さ?
いえ、やはり一番はモダン需要の有無でしょう。
折しも、世はまさに大ホガーク時代。

ホガアクを倒さむとする者、皆《虚空の力線》を積むが嗜み。


サイドメイン問わず、3枚4枚当たり前。1GPで2000枚以上も使われるようなカードともなれば、《目覚めた猛火、チャンドラ》に次ぐM20トップレアの座も納得です。




■ならば探しましょう、モダン需要

皆さんはご存じでしょうか。
先日のマジックチャンピオンシップバルセロナ。最高峰のモダンフォーマット大会。
一面のホガークの泥の中で、キラリと光る蓮のようなデッキが埋もれていたのを。


Devoted Abundance
Stern, Jon 3-7



20
2枚 2枚 3枚 3枚 3枚 4枚 1枚 2枚






20
2枚 4枚 4枚 4枚 1枚 4枚 1枚


20
4枚 4枚 4枚 4枚 4枚






12
1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚
1枚 1枚 1枚 1枚

ホガークの速度にも負けない環境最速の2キル。
異なる複数の勝ち手段。
デッキ内のカードそれぞれが有機的に結びつく構築。
《大いなる創造者、カーン》の採用によって様々な状況に対応できる万能なウィッシュボードと、洗練されたメインボード。

Face to FaceのStern, Jon氏がただ一人バルセロナに持ち込んだこの野心作は、残念ながら飛び抜けた成績は残せなかったものの、いつまでも自分の目を惹きつけて止みませんでした。



■デッキ解説

このデッキは基本的には最速で無限マナを目指すデッキですが、無限マナに至るまでの多種多様なルートを持っています。
A.《献身のドルイド》+《療治の侍臣》


B.《豊穣の力線》+《極楽鳥》or《貴族の教主》+《現実からの遊離》


C.《ドライアドの東屋》+《楽園の拡散》+《現実からの遊離》


D.《東屋のエルフ》+《楽園の拡散》+《現実からの遊離》


※上記の《現実からの遊離》部分は、《破滅の終焉》《ヘリオッドの巡礼者》に置き換えることも可能です。
《破滅の終焉》《ヘリオッドの巡礼者》《現実からの遊離》サーチ)



そして無限マナを生成した後のフィニッシュ手段は以下の通り。
Ⅰ.《豊穣の力線》による無限強化


Ⅱ.《大いなる創造者、カーン》《歩行バリスタ》による無限ダメージ


Ⅲ.《破滅の終焉》X=1000からの《極楽鳥》サーチ


また、無限マナに至らなくても、10マナからの《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》ロックもあります。

特に、コンボエンジンである《豊穣の力線》がそのまま勝ち手段となる美しさや、2ターン目《大いなる創造者、カーン》からのターボマイコシンスロックという強力無比なサブルートを持っていることがこのデッキの大きな特徴です。



■プレイ時の注意点

・フェッチランドの使い方に注意を
ライフを守るために森をサーチするのか、色マナを用意するために《繁殖池》《寺院の庭》をサーチするのか。はたまたコンボのために《ドライアドの東屋》をサーチするのか。
手札やライフだけでなく、次のドローの受けをよくよく考える必要があります。

《楽園の拡散》はなるべく温存
安易にマナ加速のために適当な森などに貼ると、《現実からの遊離》を引いてしまい、せっかくの無限マナルートを潰してしまう可能性があります。
《ドライアドの東屋》はかなりアクセス手段が多いため、常にCのルートは意識しておいた方が良いでしょう。



■調整

デッキの動きを理解するためリーグを数回まわし、更にデッキを回しながら、リストの細部について自分なりに色々と差し替えを行いました。


19
1枚 3枚 3枚 3枚 3枚 3枚 1枚 2枚






21
2枚 4枚 4枚 4枚 3枚 3枚 1枚


20
4枚 4枚 4枚 4枚 4枚






15
1枚 1枚 1枚 1枚 4枚 1枚 3枚 3枚



《ドライアドの東屋》《冠雪の森》
特に青白コン相手に《流刑への道》《廃墟の地》で基本地形が不足することが多く、特に《ドライアドの東屋》を2枚引いた時のもたつきは許容できるものではなかったので差し替え。
ただし1枚目の《ドライアドの東屋》を除去られた後に二の矢を用意できるかどうかはかなり重要なため、他のカードとの差し替えも十分ありえます。


《療治の侍臣》増量
《献身のドルイド》の受けが《破滅の終焉》含めて5枚しかないのは少なからず問題があったため増量。


《森の女人像》《楽園のドルイド》
更地で《豊穣の力線》《現実からの遊離》からの無限マナを決めた際、《森の女人像》がアタックに行けないケースが何度か発生したため同じ呪禁持ちに差し替え。
除去スタックでアンタップすれば一緒と割り切り。


《防御の光網》採用
青白コン相手は2ターン目《大いなる創造者、カーン》着地から《マイコシンスの格子》サーチがよくある勝ちパターン。
ですが、3ターン目に5マナでやることがなく、ぼんやりと《歩行バリスタ》をサーチしてきて4ターン目にもじもじしておしまい、なんてケースもよくあります。
その隙間を埋めてくれるのが《防御の光網》。5マナからなら《呪文貫き》にも《マナ漏出》にも引っかかりません。


・墓地対策不採用
速度的にこちらのデッキの方が早く、対策カードを積む必要はありません。
《虚空の力線》他色々試しましたが、上記の理由から対策の対策カードに枠を譲ることにしました。

・ユーティリティクリーチャー不採用
おおむね墓地対策と同じ理由からスペースは圧縮されました。
ただし、《呪詛呑み》についてはコンボ非成立時の《破滅の終焉》サーチ先として採用の余地はあります。

今回はある程度スッキリしたサイドにしてみましたが、ウィッシュボード含めてまだまだ可能性がありますね。



■実戦

上記のリストに落ち着いてから、改めて構築リーグに参加。
まだまだプレイングは覚束ないですが果たして…?

ROUND1 赤単ゴブリン ○○
・1本目

《豊穣の力線》スタートから2ターン目《大いなる創造者、カーン》は流石の展開力の前に落とされるも


残った《極楽鳥》が無限マナからシュートして勝ち。

・2本目

再び《豊穣の力線》スタートから、2キルチャンス!


…は《飛び道具の達人》に阻止されるも、ドルイドコンボで勝ち。


ROUND2 マルドゥデスシャドウ ○○
・1本目

相手の土地が詰まった一方、圧倒的展開力から、カーンロックで勝ち。

・2本目

《豊穣の力線》があったのでギャンブルキープするも


《ドライアドの東屋》は無事除去られてピンチ。


しかしなんとかリカバーし、ハンドを責め立てられるも

《豊穣の力線》1枚で戦線を支え、《破滅の終焉》X=11からシュートして勝ち。


ROUND3 青白コン 〇××
・1本目

《豊穣の力線》スタートから

《時を解す者、テフェリー》でマウントを取られそうになるも《楽園のドルイド》が偉く

《現実からの遊離》が着地し

アンタップスタックの《謎めいた命令》をアンタップ呪禁でかわして勝ち。《時を解す者、テフェリー》の能力を勘違いされた?

しかし2本目、3ターン目に《大いなる創造者、カーン》が着地するものの次ターンに《歩行バリスタ》を出し渋ったためにエンドの《流刑への道》《瞬唱の魔道士》《流刑への道》FBからのアタックにフェッチから《ドライアドの東屋》をブロックにまわさずをえなくなり、次ターンフェッチからのサーチ先がなくなり《夏の帳》を抱えながら6マナで《マイコシンスの格子》を泣く泣くキャスト⇒当然カウンターされて投了。
想像力が足りなさ過ぎました。

そのまま3本目も万全に取られ負け><

ROUND4 ホガークヴァイン ○○
・1本目

やっと当たれた環境最有力デッキですが、相手の猛攻を尻目に3ターン目無限コンボで勝ち。

・2本目

《豊穣の力線》スタートから3ターンキルで勝ち。速度が違います。


ROUND5 青白コン 〇×〇
・1本目

《豊穣の力線》スタートから

《大いなる創造者、カーン》が着地し

《至高の評決》を撃たれたエンド時に《ドライアドの東屋》サーチ⇒《豊穣の力線》のおかげで6マナに届くので《マイコシンスの格子》でロック完了。

・2本目

《豊穣の力線》スタートできたものの《時を解す者、テフェリー》でのバウンスからがっちりとコントロールされて負け。

・3本目

そして3本目、この局面からまさかのフル展開を選んでしまい

次ターン、当然の《現実からの遊離》トップ。
前のターン、《楽園の拡散》を温存できていれば《ドライアドの東屋》からの無限コンボが決まっていました><
その後は完全にコントロールされて負け。
非常に悔しい3-2となりました。



■最後に

なんとしても5-0。最低でも4-1はしたかったのですが、プレイヤーがミスを連発したため冴えない結果となってしまいました。申し訳ありません。

ですが、負けはいずれもポカ負け。デッキの可能性は十分に伝えられたのではないかなと思います。
0ターン目《豊穣の力線》の圧力、きっとクセになりますよ?

それでは《豊穣の力線》の値段が少しでも上がることを願って今回は終わりたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。